脱毛での肌トラブルを避けるには~よくある症状と原因、回避方法

脱毛による肌トラブル

脱毛はツルスベ肌に近づける一方で、やけど、痛みなどの肌トラブルが起こるリスクもあることをご存知でしょうか?
2017年5月、国民生活センターは「脱毛での肌トラブルは過去5年間で1,000件近く起こっている」と発表しました。中には治療に1年以上かかるケースもあるようです。

独立行政法人国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」

最近は「脱毛」に関する情報を、家の中でも外にいても目にする機会が増え、手軽に脱毛が始められるようになってきました。ですが、エステでも医療脱毛でも、施術による肌トラブルが起こるリスクはゼロではありません。今回はこの記事で、脱毛での肌トラブルを避けるために、よくある症状と原因、そして回避方法についてご紹介します。

脱毛で肌トラブルのリスクは避けられない

脱毛による肌トラブル 国民生活センターが発生状況を発表

2017年5月11日、国民生活センターから、脱毛による肌トラブルの発生状況について、2012年度以降の約5年間に起こった件数が発表されました。発表によると、脱毛施術によって危害を受けたという相談は、全体で964件も寄せられたそうです。

およそ4分の1に脱毛後のトラブルが起こっている

国民生活センターの調査によると、脱毛をした人のおよそ4分の1にあたる人が、脱毛してから3年間の間に、やけど、痛み、ひりひり感といった身体症状が生じたことがあると回答したそうです。約4人に1人の確率で症状が出ると考えると、とても他人事とはいえません。

脱毛で起こった危害の内訳

実際に危害が起こった事例について、施術の内容別に集計したところ、エステ脱毛では「光脱毛」、「レーザー脱毛」、「電気脱毛」の順で多く、医療機関の場合は「レーザー脱毛」が大半を占めていたそうです。

また、危害の内容については痛みなどの「皮膚障害」、「熱傷(やけど)」が多く、程度別ではエステが57.3%、医療機関が67.0%が、発生した危害について治療を受けたというデータになっています。

具体的な危害内容としては、次のようなケースが紹介されています。

  • エステで毛穴に針を刺して毛根を熱で死滅させる施術を受けたところ、赤く腫れあがった。
  • 肛門周りの光脱毛の施術によってやけどを負った。
  • 美容外科でヒザ下のレーザー脱毛を受けたところやけどのように腫れ、色素沈着が残った。
  • レーザー脱毛を受けたらじんましんが出た。

肛門周りのやけどやじんましんのケースでは、治療に半年や一年以上の期間を要したとのことでした。トラブルの程度によっては、治療が長期にわたるケースも考えられるといえそうです。

肌に対して施術を行う以上、絶対安全とは言い切れない

多くのエステで行われている「光脱毛」にしろ、医療機関で受けられる「レーザー脱毛」にしろ、どちらも毛の発生源にダメージを与えたり破壊するなどして、一時的な除毛や減毛、あるいは高い脱毛効果を生み出します。

一方で、ムダ毛も体にとってみれば「必要」なものだから生えてきているのです。だから脱毛は、体にとって必要なムダ毛を、無理に機械でダメージを与える行為と考えることもできます。そのため施術を行う以上、肌への負担はゼロではありません。そして肌トラブルゼロで絶対安心とは言い切れないのです。

さらに、施術を受けるのがエステであっても医療機関であっても、トラブルが起こるリスクはあります。今回発表された、964件という国民生活センターへの相談のうち、発生事例の内訳はエステよるものが680件、医療脱毛によるものが284件になっています。

脱毛でよくある肌トラブルの症状

脱毛後に起こる次のような症状に注意

脱毛をすると起こりやすい肌トラブルがいくつかあります。施術を受けたあとは次のような症状が出ないか注意しておくことが大切です。

やけど

代表的なトラブルの一つがやけどです。脱毛では、光やレーザーが毛根を感知し、熱を生じさせてダメージを与えたり、毛の発生源を破壊するなどします。感知することができるのは、光やレーザーが、黒いものを瞬時にとらえる性質を利用しているからです。ですが、生じる熱の温度が高すぎると、やけどのリスクも生まれやすくなります。

やけどのリスクを下げるには、出力数を弱めることが方法の一つですが、そうすると今度は脱毛効果も弱まるというデメリットが生まれます。そのため、一概に出力数が弱ければいいとも言えません。

やけどで心配なのは、跡が残ることです。徐々に薄くなる可能性が高いとはいえ、気にならない程度まで回復するまでは、時間がかかることも多いです。もしやけどが発生したら、感染症などのリスクも考えられるので、すぐに医療機関での治療が必要です。

痛み

脱毛の広告や口コミなどを見ていると、「痛くない」という表現を見かけることもあります。ですが、どんな脱毛でも痛みを感じる可能性がある、と思っておきましょう。特にレーザー脱毛や、デリケートゾーンを脱毛する場合は、大なり小なり痛みを感じる可能性が高いです。

痛みの感じ方について、レーザー脱毛などでは「輪ゴムをはじいたような痛み」と説明されることも多いですが、人によってはそれ以上であったり、耐えられないほどの強い痛みを感じるケースもあります。

炎症

施術中は問題ないと思っても、施術後に照射した部分が赤く腫れたり、ひりひりする、かゆみを伴うなどの炎症が起こる場合もあります。炎症は、脱毛の施術後に最も起こりやすいトラブルともいわれているので、特に注意して観察することが大切です。症状が表れやすいのは、光やレーザーが強く反応する色素の濃い毛が密集している部分といわれています。

最も起こりやすいトラブルということで、医療機関などでは、自宅でアフターケアできるように、炎症を抑える塗り薬を処方されることが多いです。

さらに、脱毛後数日間の間に、施術した部分に赤い点状だったり、白く膿んだようなブツブツができるケースもあります。見た目はニキビに似た症状ですが、実は「毛嚢炎」と呼ばれる、毛穴が赤く腫れた状態のトラブルです。

毛嚢炎は、照射する際の熱によって皮膚のバリア機能が低下し、毛根を包んでいる毛包と呼ばれる部分が、細菌感染しやすくなるようです。太い毛が生えている部分は起こりやすいといわれているので注意が必要です。
毛嚢炎の症状が出た場合は、医師に相談し、必要であれば薬を処方してもらうことが大切です。放っておくとシミや色素沈着の原因になることがあるので気を付けましょう。

脱毛で肌トラブルが起こる原因

サロン、クリニックに原因がある場合

脱毛によって肌トラブルが起こる原因の一つは、サロンやクリニック側に問題がある場合が考えられます。

施術者の、施術時における対応やスキル

エステや医療機関では、施術前にその人の肌の状態を見て、細心の注意を払い、肌の状態に合う適切な出力数や照射時間によって施術が行われるはずです。とはいえ、適切な施術を行うには、施術をする人自身の技術や、豊富な経験も必要です。判断が間違っていれば、肌質に適さない出力での照射が行われ、やけどや痛みなどのトラブルにもつながりやすくなると考えられます。

事前の説明が不十分

脱毛を行う際は、施術前にしっかりとリスクの説明があるべきです。しかし、実際にトラブルが発生し相談が寄せられていることを考えると、施術前のリスクの説明が不十分なケースもあるのかもしれません。その上、医療機関によってはトラブルが起こった際の対応が不十分、不適切と感じるケースも発生しているようです。

誤認しかねない広告やホームページ内の表現

脱毛を取り扱うエステや医療機関の広告は、日常生活の中にあふれています。家の外なら電車やバスなどのつり革広告、家の中であればテレビCM、最近はインターネットやSNSを開いても、どこかのエステや医療機関の宣伝広告を目にすることがあります。

目にする機会が増えれば、脱毛したいという思いも高まりやすいです。ただ注意したいのは、エステや医療機関によっては、「肌トラブルの心配なしで、安全な脱毛ができる」というような、私たちが間違ったイメージを持ちかねない表現をしているケースもあるということです。

例えば医療機関の宣伝広告に「安心・安全」とある場合は、リスクがないという意味ではなく、「何か起きても医師がいるので迅速な対応ができます」という意味程度にとらえることが大切です。

脱毛の施術を受けた本人に問題がある場合

脱毛によるトラブルは、全てがサロンやクリニック側に問題があって起こるというわけではありません。トラブルが起こる主な原因のもう一つには、私たちのケアに問題があって発生することもあります。

体質的にトラブルが起こりやすい人もいる

脱毛効果の表れ具合には個人差があります。そのため同じ施術を受けても、人によって反応が異なることがあります。
例えば敏感肌の人や、ほくろのある部分を含めた施術を行った場合は、通常であれば問題ない程度の出力数であっても、肌が過剰に反応してやけどを起こす可能性があります。
他にも、日焼けしている人は肌が弱っている状態であることも多く、やけどのリスクは高くなりやすいといわれています。

脱毛施術後のアフターケアが不十分なケース

脱毛の施術を受けた当日は、照射した際の熱が体にこもった状態で、肌が弱っていると考えるのがベストです。トラブルを避けるために、自分自身でもアフターケアを行うという意識が大切です。
特に、脱毛の施術後に次のような行動をとることは、肌トラブルのリスクを高めることになるので注意しましょう。

脱毛施術後に日焼けは厳禁!

脱毛後の肌は、光やレーザーの熱によっていつも以上に敏感な状態になっています。肌のバリア機能が落ちた状態なので、紫外線を浴びると色素沈着を起こしたり、シミができるリスクが高まります。
だから脱毛している間に日焼けすることは厳禁です。日焼けすると、その部分に照射する光やレーザーが過剰反応し、やけどリスクも高くなります。

脱毛施術後はお風呂は避けよう

脱毛後の肌は照射したときの熱がこもり、火照った状態になっています。いつも通りお風呂に入ったり、体をごしごし洗うと、状態が悪化したり炎症が長引く可能性があります。
また、お湯につかることで体温が上昇してヒリヒリしたり、火照った部分が赤くなって残る可能性があります。さらに放置しておくと赤みが残ってしまうこともあるので注意が必要です。

保湿を怠ると肌トラブルの元に

脱毛は多かれ少なかれ肌にダメージを与える行為なので、脱毛後の肌は水分量が減り、乾燥した状態になっています。
乾燥は肌にとって大敵です。保湿せず放っておくと、肌がどんどん傷んでトラブルも起こりやすくなります。肌が乾燥しすぎると、施術も受けられないことがあるので、脱毛後は保湿を怠らないようにしましょう。

肌トラブルを回避するには

医療体制がしっかり整った脱毛サロンや医療脱毛クリニックを選ぶ

少しでも脱毛による肌トラブルを回避するためには、施術先選びが重要です。そのために次のようなポイントをしっかりチェックして、医療体制の整った脱毛サロンや医療脱毛クリニックを選びましょう。

万が一を考えると医師が施術を行うクリニックを選ぶ方が安心かも

脱毛による肌トラブルのリスクを考えた場合、はじめから、医師が施術を行うクリニック脱毛を選ぶ、というのもひとつの回避方法です。もし何かトラブルが起こっても、クリニックでの脱毛であれば、医師による診察を迅速かつ的確に受けることができるからです。

医療機関ならしっかりした脱毛も、トラブル時の対応も期待できる

エステと医療機関とがそれぞれに脱毛で認められている行為には、次のような違いがあります。

  • エステの脱毛は光を照射するなどして一時的に除毛・減毛をする行為で、医療行為に該当しない範囲の施術しか行うことができない。
  • 医療機関の脱毛はレーザーなどによって毛の発生源にダメージを与え、破壊するなどして高い効果が得られる脱毛が受けられる。

この他に、医療機関でも光脱毛が導入されていることがあります。ですが、医療機関の光脱毛は、エステサロンより高い出力数を持っていることが多いです。
医療機関ではエステに比べ、より強いダメージを与える行為が認められており、それに伴って脱毛効果も高まりやすいと考えられます。だからしっかりとした脱毛を求めるのであれば、医療機関の方が確実とも考えられます。

もちろん医療機関で用いられる脱毛マシンは出力数が高い分、皮膚内部の組織を破壊しやすく、やけどなどのトラブルリスクも起こりやすいかもしれません。ですが、医療機関ということで、万が一トラブルが起こった際は、すぐに医師の診察を受けることができるという安心感があります。

医療機関は国や自治体の管轄下にある

医療機関は地元の保健所から、最終的には厚生労働省の管轄にあります。つまり、常に自治体や国から監視され、指導を受ける立場にあるということです。対するエステは、特定の組織の管轄下にはありません。だからよほどのことがない限り、監視や指導を受けることもない、ということになります。こうした違いも、安心面で考えると大きな違いといえそうです。

今後エステ並みの料金設定という医療機関も

脱毛の一般的なイメージには、エステの方が安い料金で施術ができ、医療機関は脱毛効果は期待できるものの、料金が高いと思われることも多いです。
しかし、医療業界も次々と新しい美容皮膚科が登場しており、以前に比べて施術費用は安くなりつつあるようです。そのため、今後は医療機関であっても、エステ並みの料金で施術ができるようなクリニックが増加する可能性もあります。

医療体制を明示している脱毛サロンも増加中

脱毛サロンの中には、医療機関と提携を結んでいるところも増えてきています。こうした脱毛サロンでは、万が一、脱毛による肌トラブルが起きた場合、提携機関を紹介できるよう医療体制を整えています。脱毛サロンのホームページや情報をチェックする際に、そうした医療機関との連携(ドクターサポート)があるかもチェックしてみてください。

カウンセリング時、施術時のコミュニケーションをしっかりとろう

脱毛は肌にとって少なからず負担をかける行為です。施術中はなんともなくても、施術後にトラブルが起こる可能性はあります。少しでも不安やトラブルのリスクをなくすためにも、カウンセリングの時間は大切です。

カウンセリングでは受け身になるのではなく、自分の肌質(敏感肌やニキビ、アトピーなど)で心配なことや、自分の疑問に思うことはしっかりと伝えて、サロンやクリニック側からも説明を受け、きちんと納得・解決しておくことが重要です。

そして、施術中も痛みを感じたら出力を下げてもらったり、レーザー脱毛であれば麻酔などの対処をお願いしましょう。痛みの感じ方には個人差がありますので、我慢しないことが大切です。

カウンセリング時に使用機器の確認もしておくとベター

できればカウンセリングの時に、使用される脱毛マシンの種類も確認しておく方がおすすめです。最近は痛みを和らげられるよう、冷却装置によって肌を冷やしながら照射できるマシンも増えています。使用される脱毛マシンによって、感じる痛みも変わってくる可能性があります。

脱毛サロン、医療脱毛クリニックの医療体制を確認する

もし、ホームページや情報収集だけでは医療体制がどうなっているかハッキリしなかった場合は、カウンセリングの時に確認しておきましょう。

例えば、次のようなポイントを聞いておくと安心です。

  • レーザー脱毛の照射は、医師や有資格者が行うのか、施術者の経験は豊富なのか。
  • 打ち漏れがあった場合はどのような対処が期待できるのか。
  • トラブルが起こった際、治療費や薬代の負担はどうなるのか。
  • レーザー脱毛によって硬毛化・増毛化が起こった場合は追加で照射を受けられるのか、その場合別途費用が発生するのか。
  • 脱毛サロンであれば、やけどや毛嚢炎などが起こった場合どう対応してもらえるのか。

特に、肌トラブル発生時の治療費については、無料保証であったり、有料になるなど、クリニックによって対応がバラバラなので、事前にチェックしておくと安心です。

アフターケアをしっかり行おう

脱毛後の肌トラブルは、自分自身のケア不足によっても起こることは前に書いた通りです。そのため、少しでも肌トラブルのリスクを減らすために、ある程度は自分自身でも気を付けることが大切です。特に次のようなアフターケアはしっかりと行いましょう。

  • 外出する際は日焼け止めや日傘、UVカット効果のある服などを着用し、紫外線対策をする。
  • 脱毛後の火照った肌には、少しでも回復するよう、施術した部位に保冷剤や、冷水で冷やした清潔なタオルやガーゼなどを当て、しっかり冷やして状態を落ち着かせる。
  • 脱毛を受けた当日は、ぬるめのシャワーのみで肌を温めすぎない。湯船につかったり、ごしごしこすって肌に刺激を与えないこと。
  • 脱毛後の過度な運動で多量の汗をかくことは、肌に刺激を与える行為なので、避けるようにする。
  • 保湿剤やクリーム、ボディクリームなどを使って、いつも以上にしっかり肌を保湿する。使用するのは普段使っている化粧水や保湿クリームでOK。
  • クリニックによっては炎症止めの軟膏(クリーム)を出されるので、指示通りに使用する。
  • 次回脱毛までに自己処理する場合は、脱毛効果が弱まるため、毛抜きは使用しないようにすること。

脱毛後のケアで、しっかりと肌が保湿されれば、痛みを感じにくくなるだけでなく、照射パワーも高められ、結果的に脱毛効果のアップにもつながり一石二鳥も期待できます。反対に、日焼けをしてしまうとやけどリスクが高まり、施術自体ができなくなる可能性もあるので注意しましょう。

不調を感じたらすぐに病院に相談しよう

赤みやヒリヒリ感が出ても、2~3日で症状が治まる場合もありますが、強い赤みやヒリヒリ感、痛みなどを感じた場合や、湿疹やかゆみ、水ぶくれなどの症状が出たときは、やけどの可能性があります。不調を感じたら我慢せず、すぐに病院へ相談しましょう。

脱毛サロン・医療脱毛クリニックは、価格だけでなく安全面もしっかりチェックしよう

脱毛は肌に多かれ少なかれダメージを与える行為です。だからトラブルが起こるリスクも、ゼロではありません。まずは、脱毛サロンと医療脱毛クリニックで受けられる脱毛の違いを理解しましょう。そして、施術先選びをする時は価格だけでなく、十分な医療体制が整っているかどうかも確認しましょう。

確認には、ホームページや広告の情報だけでなく、口コミのチェックや、実際にカウンセリングに行くなどすることが大切です。契約する前に十分な情報収集をし、リスクについての説明を聞いておくことが重要です。それでももし実際に施術を受けた後、トラブルや体の不調を感じたときは、すぐに病院を受診し、治療を受けましょう。

自分の肌を守れるのは自分だけです。脱毛の施術先選びをする時、ついつい価格の高い・安いに目が行きがちですが、安心して施術が受けられるかどうか、じっくり検討するようにしましょう。

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